介護職の賃金は
令和元年は平成30年よりも434円減少しています。※1より
たった434円です。たいしたことが無いかもしれません。
しかし、令和元年の時点で減少しているのです
令和元年と言えば
・日本の産業全体が人手不足
・最低時給の大幅な引き上げ
・新型コロナの影響はまだ受けていない
このような条件がそろっているにも関わらず、平均賃金の減少の理由を考えます。
※1
公益財団法人 介護労働安定センター
(http://www.kaigo-center.or.jp/)
※2
厚生労働省 社会福祉施設等調査概況より
(https://www.mhlw.go.jp/index.html)
なぜ減少するのか考察
賞与が増加しているから
賞与に関しては1127円の上昇となっています。
こちらは順調に年々上昇しており、職員の収入は賞与によって総合的には上昇を維持している可能性があります。
調整のしやすい賞与が賃金の代わりに上昇している可能性は大きいでしょう。
しかし、施設によっては処遇改善手当を賞与としている支給している所もあるので実質的には・・・
施設数が増加しているから
年数 | 施設数 | 前年比施設増加数(%) | 従業員数 | |
---|---|---|---|---|
平成26年 | 61,307 | 2,694(105%) | 878,413 | 38,711(105%) |
平成27年 | 66,213 | 4,906(108%) | 899,172 | 10,759(102%) |
平成28年 | 70,101 | 3,888(106%) | 960,031 | 60,859(107%) |
平成29年 | 72,887 | 2,786(104%) | 1,007,414 | 47,383(105%) |
平成30年 | 77,040 | 4,153(106%) | 1,079,497 | 72,083(107%) |
令和元年 | データなし | データなし |
施設数の増加により、新規職員の賃金が加えられた結果として全体の賃金が減少したかと推測しましたが施設数と従業員数の推移から考えると可能性は低そうです。
令和元年のデータこそ無いですが、ここ5年間のデータより施設数・従業員数ともにかなり増大していますが賃金は上昇を続けていました。
そのため施設・従業員の増加は関係が賃金を押し下げていないと思われます。
思い返してみれば、近年の介護職員の求人はかなり高めであり、職場でも羨ましいと話題になることが多かったですね。
介護報酬の減少(個人的な感想です)
多くの介護施設は国からの介護報酬が収入源ですが年々減少しています。
正確には最大値が微増か横ばいとなっていますが、施設側での申請が多い加算の値段は下げられていくく印象が強いです。
つまり実質的に、国が払うお金は減少するように節約しているのです。
節約するなんて酷い!と思うかもしれませんが、介護に国が使うお金は急激に上昇しており、総支出は急上昇しています。
介護保険費用平成20年は6.9兆円でしたが平成30年は11.1兆円と2倍近く上昇。
※2より
介護報酬の減少はもはや仕方がありません。
賃金が少し減っただけで問題なの?
賃金は労働契約書によって、契約として保障されています。
そのため、賃金は余程の事情が無い限り減らすことは出来ません。
しかし、賞与は違います。簡単に削減、無しにすることが可能です。
さらに、処遇改善・特定処遇改善は永久ではありません。
国の判断で終了することもあり得るのです。
介護業界ではあまりありませんが、ニュースで労働組合が「ベースアップ(ベア)」と言っているのは、昇給(賃金の上昇)が賞与よりも大事だからです。
介護業界の安月給はだいぶ改善されました。しかし、実態は薄氷の上です。
その薄氷にヒビが入ったと考えられるでしょう。
まとめ
介護職の将来は予想よりも厳しくなってきました。
超高齢化社会社会を迎える前に、介護保険制度の限界が来たと言えるかもしれません。
体が健康であるという前提ならば、介護職で十分生きていけると思います。
しっかりと準備しておけば、子供を私立の大学に入れることも大丈夫でしょう。
ただし、TVやSNSで見かけるような幸せは望めません。
国からの報酬に頼っている以上、業績好調で特別に昇給!賞与に期待!なんてことはないのです。
年数を重ねても生活レベルを上げることが難しい、地方の中小企業と同じです。
もちろん、管理者やケアマネ等のスキルアップを目指すこともありです。
しかし、やりがいを求めて現場を離れたくない方は、収入も両立することは厳しくなっていくことは覚悟しなければいけません。
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