実は国が平成28年(2016年)から
「紙オムツを下水に流せないか」検討しています。
令和2年度も検討するべくスケジュールが組まれていましたが、
新型コロナウイルスにより進行は怪しくなってしまっています。
ここでは一度、状況を整理していきます。
引用:国土交通省「下水道への紙オムツ受入実現に向けた検討会」
紙オムツ使用状況
国土交通省の推計では
2018年 121億枚(こども60億、大人60億)
2030年(推計) 135億枚(こども51億、大人84億)
2040年(推計) 142億枚(こども47億、大人95億)
上記のようになっております。
紙オムツの使用量は増える一方であり、その増加量も億単位です。
現在の処分方法
家庭の場合
燃えるゴミとして処分しているところが多い
基本的に紙オムツはパッケージにも廃棄方法として「燃えるゴミ」と、
記載されている物が大多数を占めます。
しかし、注意してもらいたいのはゴミの分別は自治体によって大きな差がある
ということです。
分別リストにはたいてい紙オムツがありますので、お住いの自治体での分別をかくにんしましょう。
大便を乗せたまま捨ててはいけません。
結構勘違いされている方がいらっしゃいますが、
大便が載ったままの紙オムツをゴミに出してはいけません。
大便はトイレに流さなければいけません。
もちろん下痢など、物理的に取れない場合は仕方ありません。
※廃棄物(一般のごみも含まれます)処理法等の法律があります。
汚れたオムツをゴミ収集車が回収すれば、付着したままの汚物がぐちゃぐちゃになります。中には放り込まれた際に袋が破けて飛び散ったりすることもあるのです。
清掃員の健康を害することは許されません。
施設の場合
専門業者と契約している場合が多い
基本的に施設は業者に委託しています。
というよりも法人は地域のゴミ捨て場を利用せずに、
自らゴミを処分しなければなりません。
私が経験した施設は全て、
大便等の汚物を含んだままで紙オムツを捨てられる
業者と契約していました。
もちろん、汚物を含んだゴミと燃えるゴミ等は分別が必要でした。
しかし、紙オムツから大便をわざわざ取ってトイレに流す必要はありません。
そんな暇もありませんでしたし、逆に手数が増えて不衛生になります。
燃えるゴミ処理の問題点
保存期間が必要
汚くて、臭い使用済み紙オムツですが当然場所を取ります。
特に汚れがひどい場合は新聞紙で包んだりもするので、
さらに巨大化してしまいます。
その大きな紙オムツを回収までの間は保存する必要があります。
介護者への負担が大きい
排泄介助自体が介助者への負担も大きい作業ですが、
その後の紙オムツ等の廃棄処理がさらなる負担を強います。
特に老老介護や健康に不安を抱えている場合は、
重くなった紙おむつのゴミ捨てなども重労働です。
介護崩壊を引き起こす材料となりかねません。
環境と焼却施設の問題
実は株式会社LIXILの資料によると焼却ゴミの7%が紙オムツです。
しかも、紙オムツの約8割の重量が水分となっており環境と焼却炉に
大きな負担となっているそうです。
紙オムツは地球規模で問題となっています。
最後に
現在は紙オムツと汚物を薬品や機械にて分離する方法が検討されています。
施設や家庭での負担が軽減される日は遠いでしょうが、
継続的に発展する社会を支える新たなインフラとしての実現を期待したいです。
コメント